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火の鳥 [06_短歌]


夕焼けに黒く灼かれて一羽飛ぶあれは私よひとりという鳥


抒情文芸 小島ゆかり 選  入選作品
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香水物語 [06_短歌]

香水物語 待つことのはじまりの香の名前には少女が似合うロリータ・レンピッカ 誘惑の呪文を纏う死の眠り夜の肌からヒクノテック・プアゾン イブが摘む林檎の形硝子瓶アダムの喉に刺さった紫 赤い毒どんな夜をも眠らせる今宵も君が私を殺す くちづけて抱いた夜から滑り出す恋を夢見て恋に憑かれて この夜を越えたあなたは微笑んで振り向かないでサクレをふわり 待ちわびて待つことの意味の牢獄に囚われていた二人の蝶々

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奴隷画家の恋 [06_短歌]

奴隷画家の恋 寂しさに 色をのせればセピア色 インク一つで終わらせた恋 黙ります 薬も飲みます だからまた 愛してください 絵じゃなく私を なんで生まれてきたんだろう 獄中の裸婦 淋しい魂 誰一人出会わなければ深海で 眠れる盲しいた魚になれた 愛される 愛されないは 言葉遣い 金で雇った奴隷に轡 目も口も 耳も舌も塞ぎなさい 絵をかきなさい それが契約 誰も皆 花咲くように 嘘をつく 雨降るように 涙流れる 捨てられて ひび割れても まだ雨は 気が触れるまで 降れない予報 たくさんの たくさんの詩はいりません 手錠のような色インクたち あの人に 私の言葉は通じない だから愛すら響かない日々

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恋獄 [06_短歌]

恋獄 駆け引きの 煉獄の恋に 繋がれて 交換したい あなたの孤独 淋しさに 降り注ぐ雨 しなやかに あなたを濡らす わたしを濡らす 哀しみを 愛(かな)しみという 一文字に 変換出来ない 自分がキライ 独りという 夜に殺され 裁かれる わたしは此処よ わたしは個々よ 傷口を 舐め合うように キスをする 舌から漏れた さびしい さびしい

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はぐれる [06_短歌]

はぐれる


それをして楽しいですかという人に楽しいですよという寂しさ


暗闇に電球の灯りひとつだけ世界に響け携帯の指


悲しみを足しても割れぬ性格を瞳を閉じて飲む錠剤


悴んだ指先ひとつ燃える火を怒りと呼ぶな号泣と呼べ


朝が来るいつものように朝は来る起きてる夜に私は亡霊


静寂に包まれ身体はコチコチと骨を削る音(ね)時計コチコチ


うまくやれうまくやれよとよわたりをうらもおもてもあるいてわたれ


置き時計短針長針ずれてゆくそんなふうにはぐれ外され


僕の声叫んでみても憎しみが飛び出すだけの冬の空き部屋
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抒情文芸 146号 春 小島ゆかり 選  佳作短歌 [06_短歌]

それをして楽しいですかというひとに楽しいですよという寂しさ


抒情文芸 146号 春小島ゆかり 選佳作短歌
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世界の中心 [06_短歌]

世界の中心


悲しみを踝までに浸しては裸足で歩む触れたい背中 盲目の行方不明の両目たち夜を跨いであなたの夢へ 子守唄自分の為に歌っては涙を流すもうひとりの君 ただひとり私を信じてくれる人裏切りらないで夜明けの朝日 すぐそこに冬が来るから私たち肌のかたちが かまくらの熱 嘘つきと虚構と事実と小説と孤独と愛が詩人のスパイス 夜の闇静寂を滑り会いに行く私はいつかの御息所 箸が折れ携帯壊れヒステリーそんな私を畳んだ笑顔 いつの日もいついつまでも愛してるあなたはいつも世界の中心  
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ワガママ短歌 [06_短歌]

ワガママ短歌 ひとひとり愛せないくらいのわがままで告白したいあなたが好きだと 昼下がり微熱を帯びた過去の汗あなたの風邪はもう癒えましたか 愛せない愛せない人を愛してる躊躇う私を殺して欲しい 声すらも優しさすらも体温も全てを奪う白い錠剤 震災が繰り返される夢をみて鯖の味噌缶だけの夕べ

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生きる夢とあちら側 [06_短歌]

生きる夢とあちら側


同じ道違う道ゆく人が交差する句読点の分岐点


誰のため生まれてきたか知りたくて空に手を伸ばす昔の少年



地図にない街を自分で創っては嘆いて壊す生きる手応え


現実と汗と涙の狭間から出てくる夢は「自分を信じる」



容赦なく削らてゆく命の火ちっぽけな人が人を照らせる命の火



育つ愛誰の手のひらにいよいとも最期は黙って独りぼっちで


過ちは愛したほどに狂おしく君の胸には棘を遺して



どこまでも続く坂道を登りつめそこから何が見えていますか



もう耳も目も見えないし動けない私を見ているそれは神様
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愛憎 [06_短歌]

愛憎


恋すれば恋するほどに憎らしく裏切り者の手首を切る朝 親だとかウザイばかりの関係を洗い流した血色の風呂 おとうさんもうすぐ死ぬ死ぬいうけれどあとどれくらいお金がいるの? おかあさん体が動かないというけれど病院通いはいつでも達者 口ばかりたつ子は要らない家の為働けない子は施設送りに 真似事の詩なんて書いて家の恥さらす詩集に払う金なし 好きな人信じてみても届かない嘘ばかりつく触れない人 ついていこう何度も決めたの君の名をナイフで抉り安心した過去 愛すれば愛するほどに美しく殺めるように絡んだ身体 蛇の恋雌雄の区別がないほどに永い間揺すれ揺すられ 口づけた舌が解けた日の朝にサヨナラだけの言葉を遺す
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