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玉葱 [02_詩]

玄関を出るときいつも気になっていた
軒先に干されていた玉葱たち
錆びた脚立の三段目に簀子をまたがせ
置かれた大量の玉葱

大きなビニール袋の下では
腐ってしまうその中身を
丁寧に木板の上に並べていた人

力のない手のひら
動かしにくい指先
(割れないように
(長持ちするように

家の軒先
陽当たりを加減して
(落とさないように
(傷つけないように

       *

先週、カレーライスが食べたくて 
薄皮を剥いでいった
今週、スパゲッティが食べたくて 
表面の皮を破り捨てた
今晩、肉じゃがにするといって
芯を取り除き乱雑に包丁で刻み込んだ

夜、納戸にまで水が浸み込む暴風雨に曝されて
外干ししていた玉葱たちは
転がりながら 行方不明になったり
落ちて傷ついたまま 溝の中で腐っていった
以来、
玉葱を上手に並べて干してある家を尋ねて歩く

玄関の扉は開けっぱなしで
軒下から転がり落ちたものを
必死で並べようとした人を
いつまでも 
探してみたりして
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